阿哲台

ここは山か、もと海か。
——答えは足元にある「阿哲台」

 阿哲台(あてつだい)は、岡山県新見市の中南部に広がる石灰岩の台地。高梁川や佐伏川などにより、草間台(くさまだい)・豊永台(とよながだい)・石蟹郷台(いしがさとだい)・唐松台(からまつだい)の4つの台地に分かれています。標高は400m~500m、石灰岩層は600mあります。

国土地理院 赤色立体地図

 阿哲台の石灰岩は、約3億年前に形成されたサンゴ礁です。
 サンゴ礁は、サンゴが成長する過程で二酸化炭素を取り込み、石灰質の骨格をつくり、それが長い年月をかけて積み重なってできたものです。
 このサンゴ礁は、海洋プレートの上にある海山(かいざん)の一部として、ゆっくりと移動しました。そして数千から数万年という長い時間をかけて大陸プレートに近づき、やがてそのふちに押しつけられて、「付加体」と呼ばれる海底の堆積物と混ざり合います。その後、地殻変動によって地面が押し上げられ、海の底にあったサンゴ礁は石灰岩となって、現在の大地に姿を現しました。

 この石灰岩が長い時間をかけて水に溶かされることで生まれる独特の地形をカルスト地形といいます。
 雨水は空気中の二酸化炭素を取り込み、わずかに酸性になります。その水が地面にしみ込み、石灰岩を少しずつ溶かしていくことで、地表と地下の両方に特徴的な景観がつくられていきます。

 カルストの特徴として、次のような地形がみられます。
すり鉢状の小さな凹地=ドリーネ
ゴツゴツした岩の露出=カレンフェルト
地下に発達した洞窟=鍾乳洞

日本で唯一。
ドリーネの中に暮らしがある。

 阿哲台は、日本でもここだけ「ドリーネの中に集落があるカルスト台地」として知られています

 一般的に、カルスト台地は水が地下に消えやすく、地盤が不安定な場所もあるため、大きな集落はできにくいとされています。国定公園・特別天然記念物の秋吉台も人が住んでいるように見えません。ところが阿哲台では、昔から人々がドリーネの周辺や底に住み、畑を作って暮らしてきました。
 その理由として、阿哲台のドリーネには、地下へ水が流れ込む「吸い込み口型」の鍾乳洞が多く、急に地面が崩れ落ちる「陥没ドリーネ」が少ないこと。石灰岩地帯は水はけが良く、農業に向いた土地があることが挙げられます。

ドリーネを利用した畑
ピオーネ農園

 また、阿哲台はピオーネや桃などの果樹栽培が盛んです。これは、土や水はけの特徴が関係しています。
 石灰岩は、水に少しずつ溶けやすい岩です。そのためカルスト地域では、地面に割れ目やすき間が多く、水が地中へしみこみやすくなります。果樹は、「水が多すぎる土地」が苦手。ぶどうや桃は特に、根がずっと湿った状態になると病気になりやすく、甘みも出にくいとされています。
 つまり、水はけが良く、空気が土の中に入りやすく、日当たりの良い斜面が多く、昼夜の寒暖差が生まれやすいという特徴から、阿哲台は果樹栽培に向いた条件がそろっているのです。

阿哲台イメージイラスト