太古の火山の記憶
― 荒戸山と柱状節理
岡山県新見市哲多町にある標高761.9mの荒戸山(あらとやま)は、なだらかな吉備高原の中に、ぽつんと盛り上がった特徴的な山です。地元では「鍋山」と呼ばれ、手軽に登山できる山として親しまれています。
山は主に「玄武岩(げんぶがん)」という黒っぽい火山岩でできており、山頂付近や中腹では「柱状節理(ちゅうじょうせつり)」と呼ばれる不思議な岩の割れ目を見ることができます。
荒戸山は、約200万年以上前に噴火した火山の名残です。現在見えている山の部分は、硬い玄武岩が、長い年月の侵食に耐えて残ったものとされています。こうした「周囲が削られて、硬い部分だけが残った地形」を残丘(ざんきゅう)といいます。
荒戸山は、ふもとの荒戸神社拝殿西側の登山道から登ります。勾配のきつい道の途中で、玄武岩の露頭や、五角形や六角形の柱状節理をいくつも見ることができます。

柱状節理とは、熱いマグマや溶岩が冷えて固まるときにできる、柱のような形の割れ目のことです。火山から噴き出した玄武岩質の溶岩は、最初は1000℃近い高温ですが、時間がたつと少しずつ冷えていきます。そのとき、岩石はわずかに縮みます。すると、乾いた泥がひび割れるように、岩にも規則的な割れ目ができます。この割れ目が下へ下へと伸びていくことで、長い柱のような形になるのです。


特に荒戸山中腹の「西乃瀧」や「黒滝」と呼ばれる場所では、柱状節理の岩がまとまって現れており、棒状の岩が束になったような景観を見ることができます。 荒戸山は、1966(昭和41)年に新見市の天然記念物に指定されました。


荒戸山の頂上は、木が生い茂っていて周囲の景色は見えません。

近くに高さ15mの展望台(幸福の塔)があり、頂上が標高777mになっています。昔はこの展望台から瀬戸内海や鳥取県の大山まで見通すことができましたが、今は周りの木が伸びて見渡すことができません。かろうじて、羅生門のある草間台を見ることができました。

頂上からの帰りは、東側の広い道を下ります。途中、玄武岩の転石(てんせき)という自然に転がり落ちて丸みを帯びた石を見ることができます。
荒戸山の玄武岩は、いろいろな鉱物の集合体であるノジュールを多く含んでいるとして有名です。このノジュールは、マグマが地表に噴出する前に、地下深部のマントル辺りの構成物を取り込んで地表に出たのではないかと言われています。
資料:改訂岡山県地学のガイド 岡山県の地質とそのおいたち
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